下顎第一大臼歯の濾胞性歯嚢胞
下顎右側第一大臼歯が崩出しない、10歳女児です。6歳臼歯が埋伏することはきわめて希で、論文では第二乳臼歯の下に入り込むことが報告されています。
近年、このような希な埋伏歯が散見されます。これは、虫歯による抜歯が少なくなったことで、崩出空隙が減少したためとも考えられます。さて、このような埋伏歯は残せるのでしょうか。
基本は減圧療法です。埋伏歯の開窓を行い、誘導線を装着します。浸出液は誘導線を伝い放出され嚢胞内圧は減圧し、埋伏歯は自然放出を開始します(下)。ただし、濾胞性歯嚢胞はエナメル上皮種との鑑別診断が必要です。
早期発見、早期治療により、嚢胞は最小限の外科的侵襲で自然放出することが多いです。放置すると嚢胞は拡大し、感染することもあります。このような場合、全部摘出を行わなければなりません。早期発見、早期治療により、臼歯として機能する確率は高まります。